The Japan Society of Infrared Science and Technology

第11代会長挨拶

第11代会長 木股 雅章(立命館大学教授)

 このたび、梅干野晃会長の後を受けて会長を務めることになりました。大変な重責で不安もありますが、皆様のご期待に添えるよう努力していこうと思っております。就任挨拶として、現在学会を取り巻く状況について考えていることを二つ紹介したいと思います。
 一つ目は会員数に関する問題です。最近、会員数の減少が問題になっております。これまで会員数増大のためのいろいろな試みを実施してきましたが、残念ながら効果は限定的でした。日本赤外線学会だけでなく、日本の多くの学会が学会離れに苦しんでいます。会員の数は学会の存在意義を測るいい指標であり、会員増を目指すことは学会発展のために大変重要なことだと認識しています。しかし、他学会も含めて、これまで行われてきた会員増大策を見てみますと、即効性を期待した短期的なものが多いように思われます。こうした取り組みは、もちろん必要なものではありますが、私は、初心に戻り、学会は何のためにあるのかということを問い直し、本来の役割を果たしているかを問い直してみることが重要であると思っています。関連する分野の研究者、技術者の規模から考えて適正な数の会員が学会に所属していて、会員のほとんどが学会から期待するものを得ているのであれば、会員数の多少を議論する必要はないわけで、もし学会が会員の期待するものを提供できないのであれば、会員数の減少はやむを得ないことです。初代日本赤外線学会会長の三石明義先生は、日本赤外線学会創刊号の巻頭言で、「赤外線の各分野の研究者・技術者が相互に交流し、啓発しあうことが重要」と述べられており、私は、その結果として日本の赤外線技術の進歩に寄与することが学会に期待されていることだと考えています。こうした期待に添うために何をすべきかしっかり議論し、実行していきたいと考えています。長期的視野に立って学会の価値を高めていくことは、結果として関連する分野の研究者、技術者に支持され、時間はかかるかもしれませんが、会員の増加につながるものであると考えています。
 二つ目は、企業と学会の関係の問題です。日本赤外線学会では企業会員を賛助会員と呼んでいます。学会が発足した当初、賛助会員の数は52社でした。その後減少傾向が続き、2012年末には19社となってしまいました。賛助会員の減少は、過去20年間の日本の経済減速が直接的な原因であることは議論の余地はなく、いたしかたないとは思いますが、こうした状況であつても、私は研究会などのイベントに多くの企業技術者に参加してもらいたいと思っています。学会はアカデミックな色彩が強いものですが、科学技術は実用化されることを最終日標としており、その意味で企業の学会への積極的な参画は、学会の活性化に大きく寄与するものであると考えています。しかし、現状を見てみますと、日本企業は内向き姿勢が強く、その姿勢が企業内の技術者にも大きな影響を与えているように感じられます。私は、企業に在籍していた時代には機会を見つけて会社の外に出て、いろいろなイベントに参加するよう心がけていました。会社の外に出ると、社内では得られない新しいアイデアにつながる刺激が得られましたし、自分の抱えている問題の解決につながる情報が得られることもありました。また、関連分野のすばらしい研究者、技術者と知り合いになれたことは、現在も仕事を進めていく上で貴重な財産になっています。そうした経験を踏まえて、企業内で指導的立場にある方々には、学会イベントに積極的に参加するよう若手技術者をご指導いただきたいと考えています。
 私が赤外線技術に関わるようになつてから33年が過ぎましたが、未だに新鮮で、新しく学ぶことも沢山あります。学会活動を通じて、皆様との交流を楽しんでいきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
(2013年6月)

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